横浜市のJR横須賀線上り線で起きたブレーキトラブル。3本の満員電車に乗り合わせた9000人の缶詰め状態が解消されるまで最大2時間半。体調 を崩す人が相次ぎ、6000人の乗客は小雨の線路に下り、徒歩で最寄り駅に向かった。横浜駅などは、足止めを食らい、いらだつ通勤客らであふれかえった。
◆担架で救急車に運ばれる乗客も◆
ブレーキ故障で停車した横須賀線上り電車の2本後続の湘南新宿ライン北行き電車。並走するJR京浜東北線鶴見駅手前で立ち往生し、JR東日本の社員の誘導で乗客が線路に下り始めたのは、午前8時30分頃。
社員らが「体調を崩したお客様はすぐに申し出てください」と大声で呼びかける中、ぐったりした様子の乗客数人が両脇を救急隊員に支えられ、担架で救急車に運ばれるなどした。
午前6時半過ぎに乗車したという横浜市戸塚区の会社員樫村幸夫さん(46)は、「トイレがある車両に乗っていたが、停車して1時間くらいすると、 体調を崩した人たちが、何人もトイレに駆け込んできた。真っ青な顔でしゃがみ込む人もいた」と話し、「会社には遅刻すると電話したが、今日は連休明けで予 定が詰まっているのに」と困惑した様子。
東京都新宿区の花田祐美枝さん(32)は、連休を神奈川県内の親類宅で過ごし、そのまま東京・渋谷の職場に向かう途中でトラブルに巻き込まれた。 「10回くらい『車両点検中』とアナウンスが流れたが、乗客が車外に出始めたのは停車して1時間半くらいたってから。ハンカチで口元を押さえて今にも倒れ そうな人もいて、席を譲った。休み明け早々こんな目に遭うなんて」とうんざりしていた。
◆私鉄への乗り換えで駅混乱◆
JR横浜駅では他の私鉄に乗り換える客らで混乱した。駅は午前8時20分頃から約1時間20分にわたり、4か所の改札のうち南口と中央南口の改札を閉鎖し、入場規制。改札口前では、駅員らが乗客らに振り替え乗車票を手渡したり、運行状況の説明に追われたりした。
横浜市西区の女性(71)は改札口で、「止まってしまった電車に、登校途中の小学1年生の孫(6)が乗っている。近くの人に携帯を借りたようなので、横浜に戻ってくるように言った」と心配そうに話していた。
JR東京駅の東海道線ホームは午前10時を過ぎても、横須賀線からの振り替え客らであふれ返った。遅れなどを知らせるアナウンスが間断なく流れ、 横須賀線と東海道線をつなぐ連絡通路では、駅員がハンドマイクで運行状況を伝えていた。改札口では会社などに提出する「遅延証明書」を受け取る人の列がで きた。